2008年7月15日火曜日

異なる意見を 討論する場を その2


 公共の場で異論をたたかわすのは勇気の要ることですが、テレビ討論会とか朝までナマテレビとかはすっかりお馴染みになりました。選挙ではリンカーンフォーラムの先鞭のおかげで、公開討論会が当たり前になりました。肝心の原子力分野ではなかなか実現しないのですが、ひとつだけご紹介したいのが東北大学の北村正晴先生です。
 市民と専門家が同じ場に会して情報や意見を交換する「対話による北村スタイル」は〇二年が始まりで、宮城県の女川町と青森県の六ヶ所村で今日まで定期的に続いています。去年の十月には東北大学の杤山修先生と京都大学の小出裕章先生の意見の異なる二人をパネリストに、高レベル放射性廃棄物に関する「専門家と専門家のオープンフォーラム」を東北大学で開催しました。
 いわゆる公聴会は、初めに説明ありきで対話にはなりません。推進側の市民が推進側の専門家を呼んでも、その逆でも異論を排除した決起集会になります。お互いの認識のギャップを解消するために、ホンネを静かに語り合う「場」を用意する。この難題を克服し、継続していることは素晴らしいと思います。
 全国の研究施設や病院からは毎日大量の低レベル放射性廃棄物が出ますが、その処分場が決まっていません。青森県鯵ヶ沢町では町議会が誘致の意向を示し、町民からは誘致反対の動きが出ており、町長は町民の総意を尊重するという姿勢です。賛成・反対を議論させる土俵を町長が作れば町民は喜ぶでしょう。
 宮城県は向こう五年間の財源不足が一千三百億円にものぼるそうですが、原子力施設の誘致も打開策の一つでしょう。賛成と反対の間にいる「よく分からない」人々は、じっくり勉強出来る「よい場」を待ち望んでいます。JC、首長、研究者…。社会的に信用が有る人にしかこの土俵は作れませんが。

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