ニッポンの技術 日本原燃が過信
「一度や二度つまづいても気落ちするな」
とは悲嘆に暮れる人を激励するときに使う。
だが日本原燃の社長が自らを鼓舞するために
使うのは、ちょっと変じゃないか。協力会社
六十社、六百五十人と四日に開いた「安全大
会」での発言だ。
日本原燃はさまざまの原子力関連事業を行
う、六ヶ所村の巨大工場だ。放射性物質を扱
うから万が一にも事故は許されない。それな
のに五年前の使用済み核燃料貯蔵プールの漏
水問題以来、トラブルや不祥事があとを絶た
ない。不都合な真実に報道で接し、当初発し
ていた「エッ」が今では「またか」だ。
兒島社長は「力を合わせれば大きな岩でも
排除できる」とも言った。なるほど再処理事
業が軌道に乗っているフランスから技術者を
大勢招き指導を受けてきたのは、世界の力を
合わせるという狙いなのだろう。ならばつま
づく前に危険を避けられる筈ではないか。
使用済み核燃料の再処理ではガラス固化体
づくりが難関だが、実は日本原燃は固化体づ
くりを、フランス式じゃなくニッポン式でや
ろうとしている。だからフランス技術者の多
くは既に帰国した。今回のもたつきを見てい
ると「国産技術の過信」ではないかと危惧す
る。現場に携わる作業員とその家族は不安で
たまらないだろう。
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