2009年6月28日日曜日

合併しない村、出来ない村




 ◇家族と下北半島を一周したのは去年の夏
だった。井上靖が執筆したという宿に泊まり
「わいどの木」でまな板を買ったが、海道沿い
の寂れた集落の印象だけが残った。合併拒否
で話題の風間浦村だ。
 ◇我が市も平成の大合併に乗ったが、国に
踊らされ巧みに追い込まれた思いがある。そ
れだけに独立路線を選択した風間浦村人には
かなりの覚悟があっての事と思いたいが、実
際はどうだろう。大間町には拒否され、むつ
市との交渉では自ら空中分解するなど、町長
も町議会も当事者能力が有るとは思えない。
 ◇俗にヒト・モノ・カネと言うが、二年後
には一億五千万円の赤字を抱えると言うのだ
から、村の運営にはまずカネだろう。村長が
給与を半減し議員が報酬を25%カットしても
収入増のアテが無いのだから行き止まりだ。
勇気と根性で乗り切れるほど甘くはない。
 ◇ところが似たような境遇の佐井村では、
貧しいながらも村民は明るく、役場にも活気
がある。村長と議会とが力を合わせて難局に
向かっている。ふるさと納税をしたご縁で村
や議会の広報が届くが、ページを開くと磯の
かおりがするようだ。
 ◇財政危機打開の切り札に原子力マネーを
選んだ市町村が周りを埋めている。東通り村
では小・中ともに25人学級が実現し、お揃い
の制服も支給する。等しからざるを憂えず…
とは言うものの両村民の心境は複雑だろう。
求める豊かさはそれぞれ違うのだから。

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